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大室山
【おおむろやま】


大群山とも書き,「おおむれさん」ともいう。最近は大室山の表記が多く,「おおむろざん」とも呼ばれる。津久井郡津久井町と山梨県南都留郡道志村の境にある山。標高1,587.6m。丹沢山の北端に位置し,南に中川川(河内川),東に神ノ川,北には道志川が流れる。全山が深い原生林に覆われ,山容は城塞のようにどっしりとしている。頂上は東西に細長くブナの巨木に覆われ,展望はあまりきかないが,初夏にはバケイソウの群落が美しい。当山付近はかつて北条氏の命により小田原に良材を出し,江戸期には山林は御木となって保護され,明治期になって御料林となった。地質はいわゆるグリーンタフ(緑色凝灰岩)からなる新第三紀中新世の丹沢層群上部の地層よりなる。山名は,山の北麓にある道志川沿いの集落である大室指(おおむろざす)に由来するとも考えられるが明らかではない。また,東京都八王子市南方では,当山が富士山を隠してしまうため富士隠しともいう(甲斐国志)。登頂ルートとしては,南の中川川沿いに中川温泉を起点とするもの,北から神ノ川の長者舎山荘を起点とするもの,また道志川の池ノ原から入るものなどがある。山頂に権現が祀られているが,天保年間甲州との国境紛争が幕府の知れるところとなり,この権現があると不利だと思った甲州側が御神体を隠したが逆の結果となり,相州側の勝訴となった。この時幕府の家老が来たが,当山から北東に下る尾根を自分で登ることができず,かごを雇って登ったことから,この尾根を家老の尾根と地元では呼ぶ,現在は茅場が多いので茅ノ尾根と呼ぶ。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066111