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鎌倉山
【かまくらやま】


鎌倉市雪ノ下,鶴岡八幡宮背後の大臣(だいじん)山の別名だとする説もあるが(鎌倉志),未詳。「玉舟和尚鎌倉記」も「此山ノアル処分明ナラズ,八幡三ノ鳥井ヨリ右,大仏ヨリ左ニ二ツ三ツ山アリ,此山ニアリト云ヘリ」と伝え,「新編相模」は「群峯周匝して各秀を競」っている鎌倉の山並みをさし,特定の山のことではないだろうと述べている。また「攬勝考」では「大神山」を指すとある。古くは,「万葉集」巻14(譬喩歌)に「薪樵る鎌倉(可麻久良)山の木垂る木をまつと汝が言はば恋ひつゝやあらむ」と詠まれ,「夢窓国師御詠草」で夢窓疎石は「また鎌倉山に,人の住居たる庵に,一夜とまり給ひけるに,軒の松風夜もすがら吹ければ」として「我さきにすみけん人のさひしさを身に聞そふる軒の松かせ」と詠んでいる。なお「謡曲調伏曽我」の「鎌倉山を朝立ちてまだ有明の影残る云々」や「唐糸のさうし」の「あけてくやしきはこね山,かまくら山をきてみれば」と表現する鎌倉山は,いずれも鎌倉の地そのものを意味していると思われる。現在の鎌倉山はもっぱら鎌倉大仏西方の丘陵地をさす。これは,昭和初年,高級住宅地として分譲するにさいし,明治期~大正期の政治家望月圭介が鎌倉山と名付けたのである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066434