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衣張山
【きぬばりやま】


鎌倉市浄明寺と大町の境,犬懸(いぬかけ)ケ谷の南東にある山。絹張山・衣掛(きぬかけ)山ともいう。標高120.2m。「鎌倉志」「新編相模」によると,山名の由来は,源頼朝が夏の暑いときこの山に絹を張り,雪景色のようにして観賞したからとか,犬懸ケ谷に住む尼寺の尼僧が松の木に衣をかけてさらしたためだともいうが,「金兼稿」は老婆が汚れた着物などを洗濯して竿で干したのであろうと記している。山中には大平・蛇屋蔵・地蔵・久保などの地名があったと伝える(新編相模)。「残稿」大町村の項によると,最も高い所で47,8丈,嶺上を三分して北東は浄明寺村と小町村の飛地である犬懸ケ谷に属し,南西は大町村に属したという。また山並みは,南東は浅間山から浄明寺村・久木村などの諸山に連なり,北西は大町の比企ケ谷山・雪ノ下村大御堂山などに及び,松樹が茂っていて「登路一条,山ノ西南字釈迦堂ヨリ東北へ上ルコト五町十九間ニシテ巓ニ達ス,険ニシテ他村へ通ズル便路ニアラズ」と述べているが,犬懸ケ谷からは,江戸期から最近まで,坂東札所第1番の杉本寺から同2番の逗子岩殿寺へ通じる巡礼道の間道が通じていた。現在は宅地造成のため途中で中断している。地質的には新生代新第三紀鮮新世の池子層の地層に属し,主に凝灰質の砂岩や泥岩からなる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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