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金時山
【きんときやま】


足柄下郡箱根町・南足柄市・静岡県駿東郡小山町の境にある山。箱根火山の古期外輪山の1峰。標高1,212.57m。約40万年前から活動を始めた箱根古期外輪山の母体となる成層火山の寄生火山である。成層火山の活動の中頃に,その活動の中心を通り北西~南東方向に走る断裂が生じ,当山や幕山などの寄生火山が生まれた。この断裂は金時山幕山構造線と呼ばれる。山体は輝石安山岩質の凝灰角礫岩および溶岩の互層からなる成層火山であったが,古期外輪山とともに南側が浸食されているため,古期外輪山の1つに見える。猪の鼻に山体が似ていることから猪鼻ケ岳とも呼ばれ,かつては山頂に猪鼻権現の小祠があったという。源頼光の四天王の1人,坂田公時が住んでいたことから公時山(新編相模)とも書き,のちに金時に転じた。頂上付近には踏破り石・金時の宿り石などが,山腹には蹴落とし石・手まり石などがある。こうした伝承地は北東の南足柄市地蔵堂方面にも多い。山麓の仙石原にある公時神社は坂田公時を祀ったもので,毎年5月5日には公時祭が行われ,この際仙石原の湯立獅子舞も披露される。登山道は仙石原からが一般的である。山頂からは展望がよく箱根全山を望める。乙女峠への稜線は箱根の中で最も人気の高いハイキングコースである。




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「角川日本地名大辞典」
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