100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

弘法山
【こうぼうやま】


秦野(はだの)市南矢名にある丘陵。標高約230m。一般に弘法山といえば三等三角点のある権現山(244m)を含めての呼称である。この山頂には常に水があり,早くから人々の信仰を集めていた。山名は昔,弘法大師が訪れ山頂で千座の護摩を修行したとの言い伝えによる。地質はいわゆるグリーンタフ(緑色凝灰岩)からなる新第三紀中新世の丹沢層群の上部が分布する。当山には昔から百八松明と呼ばれる古い行事があり,8月14日・15日の両日に山麓の人々が数束の麦わらで作った長さ2~3mの松明を持って山に登り,山頂に幾山も積み上げて点火し,再びその松明を持って下山する。その行事は祖先の霊を迎え,豊作を祈願する行事でもあった。百八松明の由来は人間の持つ108の煩悩を消すためのものである。山頂には乳の水と呼ばれる古井戸があり,この水でたいた粥を食べれば乳の出がよくなると伝える。山頂には大師堂,東麓の曹洞宗亀谷山竜法寺の奥の院がある。権現山の頂上は展望台となっており,秦野市出身の歌人前田夕暮の歌碑がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7066839