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菰釣山
【こもつるしやま】


足柄上郡山北(やまきた)町と山梨県南都留郡道志村の境にある山。標高1,370m。北に道志川,南に世附川が流れ,地質は丹沢特有の石英閃緑岩からなる。江戸期,丹沢御料林として保護されていた大森林に全山を覆われ,山頂付近はカリヤスが生え,ブナの木も点在する。近年まで,深い原生林とヤブに覆われて訪れる人も少なかったが,東海自然歩道が通ってからは,道や道標・避難小屋が整備されるようになり,以後年々訪れる人も増加している。菰釣山というのは神奈川側の呼称で,戦国期,武田信玄の小田原攻めの時,当山に菰をつるして進軍の信号旗や烽火の代用にしたことからつけられたといわれる。また天保12年,相模と甲斐との間で国境尾根の所有権争いが起き,平野村(甲州)の名主,長田勝之進が江戸幕府に告訴し,当山に菰をつるして生活したからだともいわれる。その結果,平野村側が敗訴し,丹沢を取り巻く神奈川・山梨・静岡の現在の県境が確定した。山梨側では,山頂にブナの巨木があることから,ブナの丸または大丸尾ともいう。四季山上が雲霧に覆われがちなところから,雲吊(くもつるし)山という意味からきたという説もある。当山の登頂ルートとしては,山梨県山中湖村平野から山伏峠を経て,県境の尾根を登るルートと,道志村から城ケ尾峠,富士見峠を経由するルートがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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