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権現山
【ごんげんやま】


横浜市神奈川区幸ケ谷にある小山。山名については「この所に権現の社あり故にこの名あるへし」と「新編武蔵」にはある。「鎌倉大草紙」にある小栗小次郎遭難の権現堂というのは,この権現のことである(横浜市史稿)。文明17年,僧万里が東国巡遊の紀行中に詠んだ詩「入武蔵国」のなかの「同日有山,曰権現堂 即相武両道之界」と記したのも当山であるという。また,戦国期の古戦場である権現山合戦跡としても知られる。永正7年,関東管領上杉氏の家臣上田蔵人は,北条早雲にくみして謀反を起こし当山に砦を築いてたてこもったが,上杉勢の大軍の前に敗れた。安政4年,伊予松山藩主松平勝善が山上に遠見番所を置き,海上の警備に任じた所でもある(横浜市史稿)。当山の地形について,「小田原記」には「四方嶮岨にて峰高く峙ち,南は海北は深田なり,西には小山続きたりし」とあるが,「新編武蔵」には「今土地の形を見るに,げにも小田原記に記せしごとくならんとおもはる」とある。安政年間のお台場づくりや明治以後の埋立て事業などの土取場となったため,山は削られて低くなってしまった。現在では幸ケ谷公園となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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