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猿島
【さるしま】


横須賀市にある島。稲岡町の三笠公園の沖合い約1.7kmに位置する。東京湾に浮かぶ唯一の島で,面積0.044km(^2),周囲1.2km,最高所は海抜40m。島の東側,西側は断崖となる。猿島はもと豊島と呼ばれていた(横須賀市史稿)が,建長5年,日蓮上人が房総小湊(こみなと)から横須賀へ渡る折に時化に遭い,この島に漂着,洞窟で法華経を唱えていると1匹の白いサルが現れ,上陸する方向を指したという伝説から島名になったという。第2次大戦前後には軍艦島,あるいは米人にはペリー・アイランドとも呼ばれていた。猿島は弘化4年に江戸幕府の台場が築かれて以来軍事的要塞となり,明治25年には陸軍の砲台が築かれた。その後,大正15年に砲台の管轄は海軍に移され,東京湾の警備に当たった。今でも砲台の跡や地下壕など当時の面影が島内いたる所に残る。無人島であるが,三笠公園から遊覧船が所要時間10分で運航され,海水浴・キャンプなどが楽しめ,島内には70余種の亜熱帯植物が繁茂し,サルやシカが放し飼いにされている。また,アイナメ・シロギス・メバル等の好釣り場でもあり,春から秋にかけてのレクリエーション基地となっている。なお,島の北部の海食洞内に弥生後期から古墳時代にかけて遺跡があり,弥生土器・土師器・釣り針・魚骨・貝殻などが出土した。この時代の漁労民の生活遺跡は全国的にみても少なく,研究上貴重な遺跡である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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