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散在ケ池
【さんざいがいけ】


鎌倉市今泉台7丁目にある池。別に鎌倉湖というのは昭和27年頃につけられた観光用の呼称である。散在とは1筆ごとのいくつかの耕地が集まって成立している土地とか無税の開墾地のことをいう。砂押(すなおし)川の上流である滝ノ入(たきのいり)と吉ケ沢(よしがさわ)の谷間をせき止め,幕末から明治初年にかけて造営された農業用水池である。この地域は,もと今泉・岩瀬・大船3か村の人々が馬の秣(まぐさ)を刈る入会地で,今泉村字土井待谷という場所であった。3か村が灌漑水利が悪いので用水溜池を造りたいと願書を出したのは万延元年だが,工事費の調達ができなかったため延引し,再び許可申請をしたのは元治元年4月である。3か村の村役人と小菅谷(こすがや)村(横浜市戸塚区)の名主梅沢与治右衛門とが連名で出願したわけだが,許可がおりた日や工事の着手・完成などの期日はわからない。名主梅沢が設計し,工事責任者は岩瀬の栗田源左衛門であったといい,長さ220m,幅18mの堰が築かれた。これによって,岩瀬はもちろん,大船千石(せんごく)といわれた大船の穀倉地帯が潤ったのである。なお,湖の周辺は昭和57年6月から「散在ケ池森林公園」として面目を一新した。これは自然を生かした憩いの場所として整備されたためである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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