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杉ケ谷
【すぎがやつ】


鎌倉市二階堂にある谷名。椙谷とも書く。永仁2年6月15日に書写された聖教(大毘盧遮那経巻7)の奥書に「於南閻浮提大□□(日本)国相模国鎌倉二階堂椙谷勝福寺書写畢,東寺流持金剛権律師定聖」と見え,当地の勝福寺でこれを書写したことが知られる(宝金剛寺所蔵/県史資2-1157)。なお「一山国師行記」によれば,「移巨福右掖杉谷,庵名玉雲」とあり,円覚寺の住持を辞して正和2年後宇多上皇から招かれて京都南禅寺に移るまで当地の庵にいたことが知られる(続群9上)。また鎌倉末期と推定される年未詳6月23日の理覚書状に「御札承候了,自杉谷未承候,蒙仰事候ハ,可参永候」と見えている(金沢文庫古文書/県史資2‐3042)。建武4年7月14日の沙弥道光奉書に「鎌倉西御□(門)大蔵,杉⊏⊐(谷郷)二ケ所御地事,御寄進円覚寺伝宗庵定照院」と見え,土御門二品親王(守邦親王)姫宮が当地などを円覚寺伝宗庵定照院に寄進している(黒田太久馬氏所蔵文書/県史資3上-3336)。なお,鎌倉末期の元徳2年と推定される3月4日の金沢貞顕書状に「太閤禅閤(北条高時)去月廿五日,石長老(夢窓疎石)の二階堂紅葉谷の庵へにハかに入御」と見え,紅葉谷の別人の注として「椙谷を当時紅葉谷申候也」と記されているが,現在鎌倉市二階堂の小字に杉ケ谷と紅葉ケ谷があり当地にあたるかは未詳。「新編相模」二階堂村の小名に杉ケ谷がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7067522