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鷹取山
【たかとりやま】


高取山とも書かれ,逗子(ずし)市沼間にある神武寺の背後,横須賀市との境にある岩峰。標高139m。山の形が上州の妙義山と似ていることから,湘南妙義とも呼ばれる。「横須賀雑考」には古来の名が鷹取・高取のどちらであるか判然としないとある。読みは「たかっとり」であったとし,高い所を意味する「たかっとう」から由来したと推測している。または竹取からの転化とも考えられるとある。一方,タカを取ったことから名づけられたとする説もあるが,これについて「横須賀雑考」は,タカに由来するものだとすれば「たかっとり」は高津鳥の意味で,猛禽類やキジなどのすむ山であったろうとしている。太田道灌が鷹狩をしたという伝説がある。この周辺に分布する地層は,火山の噴出物を多量に含む凝灰質砂岩を主とする新第三紀鮮新世の池子層で,山頂には凝灰質砂岩が露出し,明治期から昭和の初期まで建築用石材の池子石として多量に切り出された。頂上付近の石切場跡の岩肌は絶壁と化して奇観である。石切跡の岩壁にある約10mの弥勒菩薩の磨崖仏は横須賀市佐原に住む彫刻家藤原茂氏が敦煌の石仏を模して彫ったもので,昭和38年頃完成。また,岩壁を利用してロッククライミングの練習をする若者が多く訪れ,東京近郊の手軽な岩場としてにぎわっている。江戸末期頃までは神武寺の僧たちの修行場だったという。しかし近年,頂上直下まで宅地開発が進んだことや,岩場での事故の増加ともあいまって,岩場利用が問題となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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