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多摩川低地
【たまがわていち】


県東部の東京都との境を画する多摩川沿いに広がる氾濫原。自然堤防の発達が良く,大師河原・下河原・宿河原などの地名が残るように,古くから集落や道路の立地場所として利用されてきた。ナシ栽培も自然堤防上で行われてきた。多摩川は下流域で蛇行を繰り返し,その流路跡は現在でも低地として残る。河道が現在のように固定されたのは大正7年から昭和13年にかけてであり,それまで多摩川低地はしばしば洪水に見舞われていた。これは下流部に島のつく地名が多いことからもうかがえる。多摩川低地の開発は,慶長16年に二ケ領用水が完成した後に本格的に進み,中野島・宿河原・下河原の3か所で取水された用水は,流域60か村を潤し,江戸中期までに2,000ha余の水田が開田された。しかし,明治期以降の多摩川低地は,工業用地としての利用が進み,河口付近の埋立てにより京浜工業地帯の中核として変貌し,多摩川低地は川崎市街地の中核となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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