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丹沢山
【たんざわさん】


愛甲(あいこう)郡清川村・足柄上郡山北(やまきた)町・津久井郡津久井町の境にある山。3郡3町村の境に位置するため昔から三境(さんさかい)・三境の峰などとも呼ばれてきた。丹沢山地の中央部,塔ノ岳から北へ延びる東丹沢主脈の塔ノ岳と蛭ケ岳(ひるがたけ)の間に位置する。標高1,567.1m。主に鎌倉方面では,かつて当山を御本の平(みもとのたいら)とも呼んでいたというが,現在ではこの名称はほとんど用いられていない。当山は時代によってその山名が指し示す地点と地域が異なる。「新編相模」では愛甲郡の部分に「丹沢山は郡の西方にあり,東は郡内七沢,煤ケ谷(すすがや),宮ケ瀬等の山々に続き,西は足柄上郡,南は大住(おおすみ)郡,北は津久井県の山々に接壌し,東西およそ三里余,南北四里ばかりに及ぶといへり」と記されており,これは単一の山ではなく,東丹沢方面の登山拠点となっていた札掛(ふだかけ)集落の周辺の山々を指すことになる。現在の山を丹沢山と呼ぶようになったのは,明治期に陸軍陸地測量部がこの地域の地図を作成した時からで,山頂に一等三角点が置かれ,できあがった地図に丹沢山という名称をつけたため,それまで三境と呼ばれていた山が丹沢山に変わった。山頂にはみやま山荘がある。南へは塔ノ岳,北西へ蛭ケ岳,北東へ三ツ峰と登山道が延びる。本谷川の支流キュウハ沢が源を発し東に流れ,早戸川の支流大滝沢が北に源を発する。大滝沢には落差50mの早戸大滝があり,近郷の雨乞の場所であった。また修験者はこの沢を登り,丹沢山・蛭ケ岳へ達したという。地質はいわゆるグリーンタフ(緑色凝灰岩)と呼ばれる岩石からなる新第三紀中新世の丹沢層群下部の地層が分布する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7067891