名越谷
【なごえがやつ】

鎌倉市大町にある谷名。名越は「吾妻鏡」にしばしば登場する地名。名越谷について「新編相模」には「東方名越町より東南北に亘りて総名とす」と見え，松葉ケ谷と山王ケ谷とは名越谷の一部であるとしている。地形からすると六坊ケ谷と花ケ谷も含まれよう。現在の大町３・４・６・７丁目付近にあたる。下馬の交差点から大町四ツ角を進み安養院の前を通り，三枚橋手前の道に入った一帯をいう。明治29年刊の「相模国鎌倉名所及江之島全図」にもこの地名が妙法寺のある谷に記されている。名越谷には北条時政亭跡があり，その孫朝時以来名越氏を唱えて栄えた。源頼朝もしばしば足を運び，政子の産所で源実朝誕生の地でもある。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7068295