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名越山
【なごえやま】


鎌倉市大町にある安国論寺や妙法寺の背後から名越切通に連なる山。頂上は切通付近と考えられる。「新編相模」大町村の項は「村東にあり,山頂に登れば南に三浦郡の海浜,西に由比ケ浜,霊山ケ崎等を望み,遠く富岳に対して最勝景なり」といい,「残稿」は「最高キ処廿四五丈,本村東方ニアリ,山脈,東ハ浅間山ヨリ久木村ニ連り,三方田圃ニ臨ミ,松樹密生ス,登路ハ芻蕘(草刈と樵夫)ノ小径ノミ」と伝えている。初見は「吾妻鏡」建永元年2月4日条で「及晩,将軍家為覧雪,御出名越山辺」とある。この日,将軍源実朝は雪を覧るため名越山辺りに出かけ,北条義時の山荘で和歌会を催している。ついで承久元年9月22日条では鎌倉中の大火で,東は名越山の際まで延焼したこと,嘉禎元年6月28日条では,名越山上で南方高山祭が執り行われたことなどの記事が認められる。名越坂(切通)を擁したこの山並みは,鎌倉南東部の防備など,戦略上きわめて重要な拠点であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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