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夏島
【なつしま】


横須賀市北東端に位置した島。昭和初期に周囲が埋め立てられたために,かつて対岸であった追浜とは陸続きになっていて,現在では町名として用いられている。名称の由来には2説あり,1つは海からの風が強く冬季でもまったく雪が積もらないからとするもの(新編相模),いまひとつは全島鬱蒼とした樹木に覆われ,かつ潮流の関係で四季を通じて温暖であるから(田浦町誌)とするものである。標高54mの夏島山上には縄文早期の夏島貝塚があり,国史跡となっている。貝塚の貝層は厚さ約1.5mで,尖底深鉢土器・夏島式土器,また,キジ・ヨシガモなどの小動物の骨,マガキ・ハイガイ・ヤマトシジミなどの暖海性の貝類遺骸も多く包含されており,当時の気候が現在より温暖であったことを示唆している。北方に隣接して同じく縄文早期の野島貝塚がある。当島は大日本帝国憲法(明治憲法)草案起草の地として知られ,伊藤博文・井上毅らが,草案の内容が他へ漏れるのを防ぐために,当時まだ周囲を海に囲まれていた本地に別荘を建て憲法草案の作業を進めた。明治憲法起草地の記念碑が大正15年に建立されたが,第2次大戦後間もなく破壊され,現在あるのは昭和26年に再建されたものである。現在,当島は一部米軍に接収されている。埋立部分は,当初,旧海軍航空隊の追浜飛行場として使用され,第2次大戦後,富士モータース社の自動車工場となり,昭和36年以降,大部分が日産自動車の工場として使われている。また東方海面も埋め立てられ,住友重機追浜造船所がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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