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野毛坂
【のげざか】


横浜市中区野毛町3~4丁目にある坂。横浜市西区から中区へ下る。本牧へ通じる往還の途上に当たり,長さは200余m。下り坂の左側は伊勢山,右側は野毛山でいずれも横浜の名所に数えられてる(横浜市史稿)。坂名は,周辺の江戸期における小名である。野毛は久良岐(くらき)郡戸部村の南東部の小名で,元禄改定の国絵図には戸部の内野毛村として別に1村名で記されている。その後小名となったが,50軒余の民戸は自ら1区をなし(新編武蔵),文政年間に分かれて1村となり,開港後急速に発展して町並みを形成し,万延元年名称をそれまでの野毛浦から野毛町と改めた(横浜市史稿)。そして,野毛坂も山を切り開いた狭い切通しだったのを明治6年2月,神奈川県令大江卓の命で坂の切下げ工事が行われ,さらに明治18年からの再度の工事によって改修が完成した。その後,関東大震災の復興事業として市内の区画整理,交通機関の整備が進められ,明治3年横浜市電が西平沼橋~野毛坂と野毛坂~長者町5丁目間で開通した。この市電敷設時にはさらに切下げられて勾配が緩くなった。現在,下り坂の中ほどで右折し野毛山動物園へ続く上り坂が野毛坂と称されて市販の地図に載り,その道の入り口の市立図書館脇には解説ポールまで建っているが,「新編武蔵」などの地誌類に見る限り前述のものが野毛坂である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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