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野島
【のじま】


横浜市金沢区乙舳町・野島町にまたがり,平潟湾にある島。かつては砂州で陸地とつながって半島状になっていたが,昭和初期にその北部に水路が開かれ,周囲6kmの方形の島になった。金沢区側とは夕照橋で結ばれている。標高57mの野島山が北東端にあり,かつては稲荷山と呼ばれた。古くから当島一帯の景観は金沢八景の1つ野島夕照により世に知らている。当島は第2次大戦中,海軍の要塞地帯の一部となり,野島山の下には飛行艇用隧道格納庫が建設され,島民約350戸が強制疎開させられた。しかし,格納庫は終戦当日に完成したため一度も使用されなかった。現在でも山腹に多くの防空壕跡が残る。戦後,米軍用地となって島の美観が損なわれたが,昭和30年に横浜市により野島公園が開園,整備された。現在,公園内には運動広場・キャンプ場・レストハウス・青少年宿泊研修センター・ツツジ園などが自然林に囲まれている。野島山の展望台からは眼下に日産自動車追浜工場とそのテストコース,金沢沖の埋立造成地が見えるのをはじめ,京浜工業地帯や東京湾,三浦半島・房総半島の山並みが展望できる。島の東岸には市内に残された唯一の自然の砂浜が広がり,アサリなどの潮干狩りが楽しめる。島の一角には,金子堅太郎書による憲法草創之処の石碑がたつ。この碑は,もと平潟湾のほとりにあった旅館東屋の裏庭に昭和10年にたてられたものを,昭和30年の旅館廃業時に移転したものである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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