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花ケ谷
【はながやつ】


鎌倉市大町,名越佐竹屋敷の東方,松葉ケ谷の隣にある谷名。華谷・花ノ谷ともいう。谷名は,足利直冬の菩提寺である慈恩寺(現在廃絶)の境内に数百種の草花が植えられ,春秋に人々が遊覧してその花壇を賞賛したことから起こったという。富陽庵の「慈恩寺詩板」(伝宗庵旧蔵)は,京都五山の詩僧らが当寺の勝景を称美した詩を応永25年,寺主永貞が板に刻したものだが,この詩板にも海浜に近く,境内には花を植え,樹間に七層の塔をのぞむ景勝地であることが見える。この谷には,木束(もくそく)寺(無垢憩寺・目足寺とも)もあったが,文安3年に山ノ内の瓜ケ谷へ移された(黄梅院文書/県史資3下‐6049)。「金兼稿」に「名ヲキケハ花ノ春ナル谷ナレト,落葉カ上ノ霜ヲコソ見レ」の詠歌を載せている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7068538