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離山
【はなれやま】


鎌倉市小袋谷にある小山。「鎌倉志」は「山内より西へ行ば市場村也,村の出口に道二条あり,北戸塚道,西玉縄道,戸塚道の東に芝山あり,是を離山と云」と伝える。古来から鎌倉街道沿いの要衝で歴史上その名を散見する。山足が連続する1山なのだが,長山・腰山・地蔵山という離れた3山から成り立っているので名づけられたという(新編相模)。樹木のない芝山であったというから,これが珍しかったのであろう。享徳4年(康正元)6月,今川範忠が幕命で古河公方足利成氏を攻めたとき,成氏は離山などで防戦したが敗れて武蔵府中に逃走している。「鎌倉大草紙」(群書20)は「鎌倉には木戸,大森,印東,里見等,離山に待懸防戦ひけれども悉打負ければ……終に不叶打負,武州府中へ落行」とのべる。文明18年初冬に鎌倉を訪れた道興准后は1首の和歌を詠んだ。「廻国雑記」(群書18)に「はなれ山といへる山有,まことにつゞきなる尾上もみえ侍らねば」,「朝まだき旅立さとのをちかた(遠方)に其名もしるきはなれ山哉」とある。また,江戸初期に鎌倉を訪れた大徳寺玉舟和尚の見聞記「玉舟和尚鎌倉記」は「大道ノ左ニアリ。平時宗政(ママ)此処ニ出テ大覚禅師ヲ迎ルト也」と珍しい話を伝えている。現在は宅地造成のため大きく変貎した。




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「角川日本地名大辞典」
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