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蛭ケ岳
【ひるがたけ】


津久井郡津久井町と足柄上郡山北(やまきた)町の境にある山。標高1,672.7m。丹沢山地のほぼ中央部に位置し,高山の様相を示し,丹沢山地の最高峰で,本県の最高点ともなっている。ヒノキやモミの樹林に覆われ,珍しい植物としてオトメアオイ・ハコネコメツツジなどがみられる。頂上には薬師如来が祀られていたため,山北町玄倉(くろくら)方面では薬師ケ岳とも呼ぶ。山頂に毘盧遮那仏が祀られていたことから「びるが岳」と命名されたといわれる。毘盧遮那仏は大日如来のことで修験者の本尊であり,「びるが岳」が転じて「蛭ケ岳」になったともいう。また猟師の山頭巾であるヒル帽子の形に山容が似ているところから起こった名であるともいう。また別説にヒルは箕の古語で,その山容が箕を伏せた形に似ているところからつけられた名であろうとも,山中に山ヒルが多いところから蛭ケ岳という名称がつけられたとも伝える。山頂から南東へは丹沢山,西へ檜洞丸(ひのきぼらまる),北へ姫次(ひめつぐ)に至る。東丹沢主脈の中心で,山頂に蛭ケ岳山荘がある。南面は玄倉川の源流熊本沢,東面は早戸川の源流中ノ沢,西面は道志川の支流神ノ川を発する。当山周辺にはいわゆるグリーンタフ(緑色凝灰岩)からなる新第三紀中新世の丹沢層群下部の地層が分布する。山の南西側の地層は,凝灰岩堆積後に貫入した石英閃緑岩の熱の影響でホルンフェルスと呼ばれる変成岩となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7068765