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弁ケ谷
【べんがやつ】


鎌倉市材木座にある光明寺の北,逗子(ずし)市との境近くにある谷名。「玉舟和尚鎌倉記」によると鎌倉七谷の1つ。「廻国雑記」(群書18),「田代略系図」(新編相模)などには,当地は紅ケ谷・別ケ谷と記されている。別ケ谷は,当地に住んだ千葉介の「介」の唐名「別駕」に由来するという。嘉暦2年10月5日の崇寿寺鐘銘に「飯嶼之艮,鎌倉之巽弁谷霊区」とあるのが初見(鎌倉志)。崇寿寺は「鹿山略志」でも「在鎌倉南境弁谷」と記されている。上記鐘銘に「霊区」とあるように,この谷には崇寿寺をはじめ寺院が多かった。現在横須賀市野比にある最宝寺は享徳元年11月9日の京極持清書下(最宝寺文書/県史資3下-6139)に「鎌倉弁谷高御蔵最宝寺領事」とあることからもとはこの谷にあったことがしられる。このほか最福寺(現在三浦市白石町)・新善光寺(現在三浦郡葉山町)もかつて当地にあったと伝えられる。現在,材木座4丁目実相寺の南に「弁ケ谷」の史跡案内碑が建つ。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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