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薬師堂谷
【やくしどうがやつ】


鎌倉市二階堂の覚園寺のある谷名。大倉郷に含まれる地域である。建保6年7月,北条義時が当地に大倉薬師堂(覚園寺の前身)を建立したことから薬師堂谷といわれるようになった。「吾妻鏡」貞応2年7月9日条に,「薬師堂谷辺」に住む浄密の庭に優曇花が咲き人々が群れをなして見物した記事を載せるが,これが谷名の初見。建長3年10月7日薬師堂焼亡,火は二階堂大路の南に進み荏柄にある宇佐美判官宅の前まで焼けたという(吾妻鏡)。このほか「吾妻鏡」によると丹波良基宅・佐々木泰綱山荘・北条教時亭がこの谷にあったことがしられる(延応元年11月20日条・正嘉元年8月18日条・文永3年7月4日条)。「金沢文庫古文書」によると勧学院・願勝寺なども薬師堂谷にあったらしい。江戸初期の成立と思われる「金兼稿」は薬師堂谷の記事として護良親王獄(現在護良親王土牢と伝えられている)のことを載せている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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