100辞書・辞典一括検索

JLogos

14

谷戸坂
【やとざか】


横浜市中区山手町にある坂。横浜港に注ぐ中村川の河口近くから山手台地へのぼる。のぼる左側はフランス山,のぼった十字路の左は港の見える丘公園,まっすぐ進むとイギリス館,谷戸坂通りを経てワシン坂・本牧へ至り,右へ曲がると日本初の西洋式劇場ゲーテー座跡(現在はゲーテー座記念岩崎博物館)・外人墓地へも続き,横浜の観光名所の一角をなしている。坂の左側とのぼった付近は開港期にフランス・イギリス両国駐留軍の駐屯地であり,谷戸坂は兵站補給路となった。当時の山手居留民はこの一帯をキャンプヒルと呼び,神奈川奉行所は陣山と呼んだが,キャンプがなくなった後もキャンプヒルは谷戸坂の別称として残っていた。坂は途中でふたまたに分かれ,のぼって右側がバス通り,左側は遊歩道的存在となっており,現在谷戸坂といえばバス通りを指す。それまでは谷戸の両側の細い道だったものを,開港期に急遽片方のみを拡張した結果である。また,開港前は疱瘡大明神として多くの参詣者を集めた本牧十二天へ至る信仰の道でもあった。十二天へは谷戸坂通りを抜け,ワシン坂を下りる道が利用された。坂名は谷戸に位置するためで,地形からついた名のため他所にも数多いが,山手が観光地化したため,谷戸坂といえば当坂を指す。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7069465