ワシン坂
【わしんざか】

横浜市中区山手町と北方町にまたがる坂。本牧方面から山手台地へのぼる。台地の反対側には谷戸坂があり，台地上を通る谷戸坂通りがこの２つの坂をつなぐ。坂名は，この坂をワシンという外国人が毎日散歩していたためとも，坂下に水が湧いていたためともいう。小寺篤は「横浜の坂」の中で，前説を，それらしき人物は確認できず，ウヲルシンというフランス人がいたが，多くの居留民の中にあって名が残るほどの人物ではないとして否定し，後者については，現在のワシン坂病院付近に実際に湧水があること，明治17年の山手居留地町名設定時の地図では坂の付近は「泉町」で，白水坂という記載があることから，白水＝清水，しらみずざか―しみずざか―わきみずざか，さらに居留外国人の耳・口を経てワキミズザカからワシンザカとなったと述べている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7069695