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姫川
【ひめかわ】


県南西部の山岳地帯を糸魚川静岡構造線に沿って流下し糸魚川(いといがわ)市と西頸城(にしくびき)郡青海(おうみ)町の間で日本海に注ぐ1級河川。流長約58km。長野県白馬盆地の南端の親海(おおみ)湿田に源を発し,左岸の白馬三山を中心とする後立山連峰と,右岸の小谷(おたり)山地の間を北流し,新潟県内左岸からは大所川・小滝川・虫川を,右岸からは根知川などの支流が合流する。姫川の名に反し急流,暴れ川で「越後名寄」では北陸道の渡河について「舟渡也,山近く海近し,流疾く矢を突許也。当国第一の疾川にて他国にも有間敷早川也」とあり,交通は難渋した。明治44年・大正元年・大正5年の長野県浦川流域の稗田山の大崩落は下流に大被害を与えた。姫川左岸,糸魚川静岡構造線西部の山地は古生界・中生界の堅固な岩石で構成され,そこから流出する河川は急流が多いが,右岸,構造線東側の山地は新生代第三紀を中心とする軟弱な砂泥岩地帯のため地滑りの発生が多い。融雪も含めて包蔵水量が多く,本流・支流には中部電力・東北電力・黒部川電力・電気化学・東京発電等の水力発電所が設置されている。近年は小滝川より流出するひすいや,姫川石と呼ばれる片麻岩類の岩石の採集で著名。河口右岸には,昭和48年9月掘込みによる姫川港が開港。現在は電気化学株式会社や明星セメント工場で生産されるセメント移出や原料移入に役立ち,漁港にも利用されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7077423