万治峠
【まんじとうげ】
卍峠とも書く。東蒲原郡鹿瀬(かのせ)町実川から福島県西会津町へ抜ける峠。地籍は新潟県にある。標高650m。「新編会津」に「道極めて嶮なり,馬取村及び耶麻郡に出る径路なり,磐司・磐三郎兄弟というマタギ伝説あり」とある。磐司は磐神のことで岩の神の信仰とみられ,峠の巨石を山の神・狩猟神として祀ったものという。峠には嘉永3年飯豊山と刻まれた自然石がある。飯豊山信仰からくるもので,登拝の記念碑。また,大正4年画家の小川芋銭が峠を越えたとき「わするなよ万治峠のほととぎす」と詠んだ句の碑がある。現在は地元の人もほとんど利用せず,山菜採りやハイカーが通る程度である。
| KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7078195 |