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鼬川
【いたちがわ】


中世に見える川名。新川(にいかわ)郡に属した。水源は常願寺(じようがんじ)川で,上新川郡大山町上滝(かみだき)で取水された常西合口(じようさいごうくち)用水が,やや下流の馬瀬口(ませぐち)付近で分流されて鼬川となる。用水合口化以前は,清水又用水として常願寺川から分水され,のち筏(いかだ)川と合流してから鼬川と称したようである。常願寺川扇状地面の一部を灌漑しながら富山市内中心部に入り,松川や赤江川を集めて,富岩(ふがん)運河の西側を北上して神通(じんづう)川に入る。元亀2年3月上旬,上杉輝虎が越中出島において,椎名らの拠る富山城を攻略する際,「城中ノ敵兵鼬川ニ発向シ大ニ挑戦ウ」(上杉年譜)とあるのが初見。また,「富士山之記」に「金屋渡下者鼬河迄一里の間」に家数が1万軒に及んだとあるが,慶長頃の富山に関する記述であり,信憑性は少ない。「越中志徴」に「宝暦十四年調書に,鼬川,水上は常願寺川筋上滝村領より取入る清水又用水と云。西番(にしのばん)村領より山室(やまむろ)江口村領迄富山領境を通り,太田本江(おおたほんごう)村領にて筏川と云用水と落合,夫より鼬川と云。……道程四里程」とある。佐々成政は治水の技術にすぐれ,刀尾神社(富山市太田本郷)の境内にある名木菩提樹の碑文に「天正年間富山城主佐々成政城下の治水灌漑を計って鼬川を開削す云々」とある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7079876