御山谷
【おやまたん】

上新川(かみにいかわ)郡大山(おおやま)町にある黒部湖西岸の支流。「大路水経」には「一ノ越谷，川筋凡一里余」とある。雄山(おやま)と竜王(りゆうおう)岳を結ぶ尾根の鞍部，一ノ越の南に発し，東流して黒部湖に注ぐ。氷河時代に氷食によって形成されたＵ字谷である。一ノ越からこの谷を下り，黒部川沿いに中ノ谷・ヌクイ谷をさかのぼるのが，加賀藩の黒部上奥山回りの巡視ルートであった。黒部ダム建設の際，資材を運ぶ歩荷がきびすを接していたという一ノ越～東一ノ越～タンボ平のルートは，資材運搬路として新たに開かれたもの。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7080597