上市川
【かみいちがわ】

中新川(なかにいかわ)郡上市町を北流し，河口付近で富山・滑川(なめりかわ)両市の境をなす２級河川。流長24km。「千石村領奥山早乙女の麓より流出，此所より稲村迄は荒谷川と云，稲村領より上市村領迄は上市川と云，堀江村領より魚躬村領迄は堀江川と云。海際にて加茂宮之れ有り，右加茂の宮川と云」「赤浜村・堀江村領之間にて本郷川落合，夫より堀江川と云」（元禄九年川々水源調書・宝暦十四年調書／越中志徴）。かつては「池田館村・西光寺村ノ間ヲ流レ，常願寺川ヘ流出ル」（大路水経）。千石川にある三枚(さんまい)滝は水量が豊富で男性的である。扇状地を形成するやや上流に上市川ダムがつくられ，小規模な発電所がある。扇状地面で支流郷川を合わせるが，これに下条(げじよう)用水が敷かれている。平時の流水は少なく，古くは河口付近でわずかに漁舟の出入りを見る程度だったが，郷川を合するあたりで川幅がせばまり，出水時に水田に冠水することも多かった。昭和９年夏の被害は甚大であったと記録されている（富山県政史）。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7080778