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辛女川
【からめがわ】


奈良中期に見える川名。新川(にいかわ)郡に位置する。辛女川は大藪(おおやぶ)荘を流れる川であるが,この大藪荘とそれに近接する丈部(はせつかべ)荘の位置をめぐって石原与作と奥田新作の論争がある。石原は歴史・地理的研究から立山町寺田付近を大藪荘と比定し,奥田は丈部荘を同様な立場から入善(にゆうぜん)町に比定した。立山町と入善町とでは距離が離れすぎるが,ほかには有力な説はない。しかし条里の総合的研究や,現在も大藪が小字名として残っていることなどから石原説がやや有力と思われる。「東南院文書」3の天平宝字3年11月14日の「越中国諸郡荘園惣券第一」と,やはり同日の「越中国新川郡大藪開田地図」の大藪野地の四至に「西孫名人山道并百姓家辛女川」として出てくる。また神護景雲元年11月16日の「越中国新川郡大荊村墾田地図」(同前)にも同様に見える。しかし開田地図に見える地形と現在のそれとはかなり異なったものであり,比定することは難しいがおそらく現在の白岩川支流にあたるか。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7080929