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黒部峡谷
【くろべきょうこく】


下新川(しもにいかわ)郡宇奈月(うなづき)温泉から上流の黒部川沿いの峡谷。黒部川は日本で中級の河川であるが,北アルプスを東西に二分し,山頂と谷底の高差が1,500~2,000mに達する日本第一のV字谷をなす。「大路水経」は「水瀬早ク,石高ク,荒川也」と記し,「此水上,立山の東の下を流れ通るといえども,甚だ麓を流れ,又立山は高山急成故に,山上より流水見えず。南北の川筋は上下遙に見ゆる……谷の内,杉・檜木・弱檜(さわら)等の大材木,稲麻竹葦の如き景観を呈していた」(越中志徴)。隆起運動に伴う流水の下刻作用で形成されたもので,支谷は本流よりも浸食が少ないため,その多くは懸谷となって滝をなして本流に落下する。谷は深いが,花崗岩類で構成されているので明るく,新緑・紅葉の彩りが鮮やかで,観光客でにぎわう。仙人谷から黒部別山(べつさん)近辺までを下ノ廊下(しものろうか),黒部湖上流から薬師岳近辺までを上ノ廊下といい,断崖絶壁の峡谷美を誇り,前者は十字峡を中心に国の特別名勝・特別天然記念物。また,後曳(あとびき)橋・東鐘釣(ひがしかねつり)山・錦繍関(きんしゆうかん)・猿飛(さるとび)峡・奥鐘(おくかね)山,川原の露天風呂で知られる黒薙(くろなぎ)・鐘釣(かねつり)・名剣(めいけん)などの温泉が見所とされる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7081256