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黒部四十八ケ瀬
【くろべしじゅうはちがせ】


黒部川扇状地を網の目のように乱流する黒部川の分流。「四十八ケ瀬あるに非ず。いとせわしくさわがしきを,いにしえは四十八の数もて称したりけむ」(越中志徴)。黒部川は北アルプスの岩壁を浸食し,無数の岩石・土砂を流下して,下流に日本有数の扇状地を形成。堤防が不備であった頃には,降雨のたびに幾多の分流を派生し,川原や砂洲が限りなく広がり,分流の激流を一つ一つ徒渉しなければならず,古くから北陸街道の難所であった。「沓掛村ヨリ東狐村マデ,川幅,川原共道程一里余之レ有リ,此間,川瀬定マラズ何十筋ニモ分流スルナリ,其中,旱水ノ時ニテモ舟渡三四ケ所,其外ハ歩渡ナリ,少ノ出水ニテモ渡舟立タズ,川越人相頼往来スルナリ」。そのため,「万治年中,三日市駅ヨリ泊リ町駅ノ間,浦山村・舟見村二ケ所新駅御建,愛本ニ埴橋掛カセラレ,是ヲ上往還ト唱エ,入膳往還ヲ下往還ト唱エ,往スル」こととなった(大路水経)。かつて,堯恵は「四十あまり八の瀬ながら長雨にひとつ海ともなれる比哉」(北国紀行)とうたい,松尾芭蕉は「黒部四十八ケ瀬とかや,数しらぬ川をわたりて,奈古と言う浦に出づ」(奥の細道)と述べた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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