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ブナオ峠
【ブナオとうげ】


西礪波(にしとなみ)郡福光(ふくみつ)町と東礪波郡上平(かみたいら)村の境にある峠。標高976m。県道刀利(とうり)西赤尾(にしあかお)線が通る。峠名は,付近一帯にブナの原生林が広がり,峠にブナの大木があったのに由来する。文明年間にはすでに開けていて,蓮如上人も越前に出るのに当峠から桂(かつら)村へ抜けたと伝える。戦国期には敗残の将兵や無頼の徒が飛騨から加賀・越中へ抜ける間道であった。そのため,刀利で出入国者の取締りにあたった。江戸期には飛騨や江戸に急派される使者や隠密の利用する間道であった。また,五箇山(ごかやま)で製造された塩硝もこの峠道を越えて,土清水(つちしようず)の塩硝蔵まで運搬された(富山の秘境)。かつては下小屋(しもごや)から谷沿いに峠へ出,赤摩木古(あかまつこ)の谷を下って上平村桂(かつら)へ出ていたが,昭和43年現在の県道が開通した。峠には西南方の大門(だいもん)山への登山口,北方の大獅子(おおじし)山を経て猿ケ山に至る尾根道の入口がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7084248