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牛首川
【うしくびがわ】


手取川本流のうち,尾添(おぞう)川合流点から上流の呼称。白峰(しらみね)村市ノ瀬付近の柳谷川・湯の谷川合流点を起点とし,途中三ツ谷川・宮谷川・明谷(みようだん)川・大道谷(おおみつたん)川・赤谷川・下田原(しもたわら)川・大杉谷などの支川を合わせて吉野谷(よしのだに)村木滑新(きなめりしん)付近で尾添川と合流する。流域には白峰・桑島・深瀬などの集落が点在して林業や農業を営んだが,昭和49年に起工した手取川ダム建設で,水没した鴇ケ谷(とがたに)・釜谷・五味島などは閉村,桑島は上流百合谷(びやこだん)合流点に,深瀬は付け替えされた国道158号沿いに移転したが住民の大半は鶴来(つるぎ)町などへ転居した。流域は大部分が後期中生代層で,古くから手取統あるいは手取層群として知られるが,風化による崩壊が著しく,しばしば大洪水を起こした。特に昭和9年の大洪水は六万山付近の山津波によって白山温泉・市ノ瀬などが埋没し,流域に多大の被害をもたらした。ダムで水没した旧桑島集落の上流約1km右岸には植物化石を含む桑島化石壁があり,日本地質学の発祥地ともいわれる。白峰集落を中心とする出作り農業は牛首川本・支流域の段丘・緩傾斜地を利用して行われたが,昭和30年代後半の経済変化や北美濃地震による被害から廃絶し,赤岩・三ツ谷などの小字は相次いで閉村した。過疎対策として開設された白峰集落近くの白峰高原スキー場(砂御前山山腹)や,白山登山など観光施設による打開がはかられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7085778