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大海川
【おおみがわ】


川尻川ともいう(能登志徴・羽咋(はくい)郡誌)。宝達(ほうだつ)山(標高637.4m)に源を発し,河北(かほく)郡北部を北西に流れ,羽咋郡押水町で日本海に注ぐ川。2級河川。流長16km。鎌倉末期,加賀白山本宮の水引神人沙汰進分注文案(白山史料集)のうちに「英田村(紺一端)賀茂畷ヨリ北大見川」と見える。押水町と津幡(つばた)町瓜生(うりう)の境界から発して南流する川と,押水町沢川(そうご)の地蔵谷から発し津幡町木ノ窪・牛首を貫流する牛首川とが上河合の東南で合流,高松町箕打(みうち)・黒川を経て八野(はちの)で右岸からの野寺川を合わせ,押水町を西流,砂丘をやや蛇行し日本海に注ぐ。川名は,古代の大海(おおみ)郷,中世の大泉(おおしみず)荘と関連する。「羽咋郡誌」によれば,「急流にして舟運の便なしと雖も,灌漑の利便頗る大なり,鮎・嘉魚(いわな)・鮒・鯎(うぐい)等を産す」とあり,また「此川は水量の増減少なくして,盛夏と雖も涸るる事なく,霖雨に際するも尚氾濫の憂少なし」とある。河口は高松~今浜間の往来に利用されたが,しばしば砂や流れに足をとられ溺死することもあった(加越能水路大経)。また「加賀国境川尻川より三崎寺家(みさきじけ)村まで二十一里二十八町二十七間」(能登志徴)とあるように,この川は古来,能登と加賀を分ける国境であり,上流を通って越中へ通ずる往来でもあった。中流から上流域には河岸段丘がよく発達し,棚田もよく見られる。上流は津幡町,中流は高松町,下流は押水町に属し,牛首にはマスの放流,箕打には小規模ながらアユ・マスの養魚場がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7086089