100辞書・辞典一括検索

JLogos

21

加南
【かなん】


県の南西部。旧の江沼・能美(のみ)両郡。小松市・加賀市と能美(のみ)郡の根上(ねあがり)町・寺井町・辰口(たつのくち)町・川北町,それに江沼郡の山中町の2市5町からなる地域。南は福井県に接し,川北町を除き,県内最大の河川手取(てどり)川の南に広がる。西部の日本海に沿って広がる金沢平野の南部が地区の中心で,東部には白山(はくさん)に続く両白山地があり,加南地区の最高峰の大日(だいにち)山(標高1,369m)が県境にそびえる。その中間に標高100~200mの能美江沼丘陵が広がる。手取川・梯(かけはし)川・大聖寺(だいしようじ)川などの河川はいずれも南西から北東へ流れ,日本海へ注ぐ。海岸には砂丘が発達し,南部には潟湖である今江(いまえ)潟・木場(きば)潟・柴山(しばやま)潟の加賀三湖があったが,干拓事業が行われ,現在では今江潟は姿を消した。面積は780km(^2)(県全体の18.6%),人口は22万人(県全体の20.0%)で,小松市を中心として南加賀広域圏を作るが,南部の加賀市と山中町は加賀市の中心的市街地である大聖寺を中心として,独立性の強い小都市圏を作る。また商業的な機能では金沢市の浸透度が強い。特に工業が盛んな地区で,工業製品出荷額では県全体の37.9%を占める。古くから小松綸子に代表される繊維工業が盛んであったが,現在では繊維機械から発達した機械工業が首位を占める。小松市を中心に,加賀市・根上町に大工場が多いが,小松市のブルドーザー生産は全国的にも大きなウエートを占める。伝統産業としては寺井町・小松市・加賀市の九谷焼,山中町の山中漆器が有名で,特に九谷焼販売店は国道8号沿いに多く並ぶ。農業は金沢平野での米作が中心であるが,湿地や丘陵が多く,古くから畑作もよく行われ,小松市のイグサ栽培は今も行われている。施設園芸や南部丘陵でのナシ栽培も行われるが,兼業農家が多くなっている。また水産業では日本海底引き漁業の基地である橋立(はしだて)港が加賀市にある。山中・片山津(かたやまづ)(加賀市)・山代(やましろ)(加賀市)・粟津(あわづ)(小松市)の加賀温泉郷は加南の観光の中心で,年間400万人が訪れ,関西方面からの客も多い。さらに越前加賀海岸国定公園に含まれる片野砂丘・柴山潟や海食崖の発達した尼御前(あまごぜん)岬・加佐岬,天然記念物に指定されている鹿島の森,山中大日山県立自然公園に含まれる鶴仙渓(かくせんけい),古九谷窯跡,大日山,獅子吼手取県立自然公園に含まれる大倉岳スキー場,それに安宅関(あたかのせき)跡,那谷寺(なたでら)などの史跡や観光地も多い。また御願神事(竹割り祭,2月10日加賀市大聖寺)・九谷茶わん祭(5月3日~5日寺井町)・お旅祭(5月13日~16日小松市)・グズ焼き祭(8月27日加賀市動橋(いぶりはし)),各温泉の祭りなどの新旧の祭りも多くの観光客を集める。この加南地区への交通機関としては,金沢平野を国鉄北陸本線・北陸自動車道・国道8号がほぼ並行して走り,小松市西部には北陸3県の空の玄関である小松空港があり,空陸どちらを使っても便利な場所となっている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7086458