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口能登
【くちのと】


県の中央部北寄りの地区。能登半島の南部。東南は富山県に接し,西は日本海,東は富山湾に面し,北の奥能登と南の北加賀地区をつなぐ地区となっている。旧の羽咋(はくい)・鹿島両郡。七尾市・羽咋市と羽咋郡の富来(とぎ)町・志雄(しお)町・志賀(しか)町・押水(おしみず)町,鹿島郡の田鶴浜(たつるはま)町・鳥屋(とりや)町・中島町・鹿島町・能登島町・鹿西(ろくせい)町の2市10町からなり,面積は850km(^2)(県全体の20.3%),人口は17万人(県全体の15.3%)を占める。北部には奥能登から続く,100~200mの中能登丘陵が広がり,七尾湾にはその続きとして能登島が浮かぶ。南部には崎山(さきやま)半島から富山との県境に沿って延びる宝達(ほうだつ)丘陵があり,石動(せきどう)山(標高565m)・碁石ケ峰(ごいしがみね)(標高461m),能登の最高峰の宝達山(標高637m)などがそびえ,その中間を南西から北東に能登最大の平地である邑知潟(おうちがた)低地帯(邑知地溝帯)が延びる。そのほか,小河川の河口にも小さな沖積平野があり,各町の中心集落などが立地する。日本海側には千里浜(ちりはま)に代表される砂丘が多いが,北部には能登金剛(のとこんごう)などの海食崖も多い。七尾湾は代表的な沈降海岸で出入りの多い海岸線を作る。この地区の中心都市は,能登最大の都市で,金沢港ができるまでは県内唯一の貿易港を持っていた七尾市であるが,羽咋市と羽咋郡は羽咋市を中心として独立性の強い都市圏を作り,広域圏も七尾市・鹿島郡と羽咋郡・羽咋市の2つに分かれる。農家人口が約半数を占めるが,農業の中心は小規模な米作を行う兼業農家であり,羽咋郡・羽咋市の砂丘地ではスイカ・ニンジン・キャベツ・アスパラガスなどの畑作も盛んである。また水産業も盛んで,富山湾岸の大敷網,石崎(いしざき)(七尾市)・富来・福浦(ふくら)(富来町)などを中心とした沿岸漁業,七尾湾西湾のカキ・海苔養殖などが行われ,能登島町には県の増殖試験場(栽培漁業センター)も置かれている。工業では繊維工業が全般的に盛んだが,羽咋市付近を除くと「八台織屋」と呼ばれる小規模なものが多い。そのほかに七尾市では港に木材工業・水産加工,和倉(わくら)の珪藻土工業などが目立つ。また伝統的な産業としては能登上布(鹿西町)・仏壇(七尾)・建具(田鶴浜)・瓦(志賀町)などが知られる。この口能登は観光資源に恵まれ,能登半島国定公園に含まれる千里浜ドライブウエー・柴垣(しばがき)海岸・能登金剛(巌門(がんもん))・関野鼻(せきのはな)・能登島・和倉温泉・七尾城跡・石動山,また碁石ケ峰県立自然公園といった景勝地や史跡が多く,海釣りやゴルフのレクリエーションもでき,多くの観光客が訪れる。また古い歴史を持つ祭りも各地で盛大に行われ,能登の魅力の1つとなっている。代表的なものには羽咋市気多神社平国祭(3月18日~23日羽咋市から七尾市にかけて)・青柏祭(5月14日七尾市)・奉灯祭(旧暦6月15日七尾市石崎),綱引き祭(7月23日志賀町堀松(ほりまつ))・火祭(7月31日能登島町向田)・八朔祭(8月31日富来町)・福浦祭(9月11日富来町福浦)・お熊甲祭(9月20日中島町)などがある。口能登への交通機関としては国鉄七尾線が七尾市・羽咋市を縦断しており,金沢からは国道159号が七尾まで延び,さらに国道249号が七尾市から奥能登を通り,押水町で国道159号と合流し,富山県からは国道160号が七尾市まで延びる。特に道路はよく整備されており,能登海浜道路・能登半島縦貫道路といった有料道路もある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7086875