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子浦川
【しおがわ】


宝達(ほうだつ)山に源を発し,羽咋(はくい)郡志雄(しお)町・羽咋市南部を貫流して1級河川羽咋川に合流する川。流長約10km。口能登南部屈指の長流。宝達山の樽見ケ滝(たるみがたき)および長次郎ケ谷に源を発し,志雄町散田で新宮川・向瀬(むこぜ)川を合流し,子浦(しお)から邑知(おうち)沖積平地の南部を北流して羽咋で長者川・羽咋川に合流して日本海に注ぐ。文明8年正月11日の桜井基宗譲状に「南ハ志雄河をかきり」とあるのが川名の初見(気多神社文書)。近代の前半期までは下流約4kmに舟運の便があった(羽咋郡誌)。向瀬川は所司原村の深谷の宮地ノ池を源にし,見砂(みさご)向原から三月伝(さんがでん)川,清水原滝ノ谷からの清水原川,前田谷からの走入川を吸収して散田で本流と合流する。また新宮川は原御前の谷間,大覚坊・アマ池を水源とし,所司原の蟹ケ淵(がんがぶち)からの渋谷川を吸収して散田で本流と合流する。子浦川には八ケ村用水・四ケ村用水などの用水があり,下流ではさらに長者川の用水網によって灌漑され,口能登有数の穀倉地帯である。しかし,水量は豊富でなく,これまで旱魃がいかに農民を苦しめてきたかは水源の樽見ケ滝の雨乞い信仰でも明らかで,逆に豪雨に襲われれば,たちまち洪水となって長く冠水が続く。しかし,今日では上流に新宮ダム・子浦川防災ダム(下石ダム)が建設され,防災と灌漑用水を主とする多目的ダムとして大きな機能を発揮するに至った。新宮ダムは堤高25m・堤長82m・有効貯水量約42万4,000t,型式は前刃金式アースダムで,これにより520haが灌漑されることになった。子浦川防災ダムも前刃金式アースダムで灌漑面積は約531haに及ぶ。上流の志雄地方の山並みは,南の宝達山と北の碁石ケ峰の間にはさまれて,子浦川の谷間といくつかの比較的越えやすい峠道をもっている。これらは古代から志乎路(しおじ)と呼ばれ,越中から口能登に向かう交通の動脈として利用されてきた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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