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二宮川
【にのみやがわ】


鹿島郡東部から七尾湾へ北流する。2級河川。流長14.78km・流域面積61km(^2)。石動山のトヒの水・蟻ケ原欅谷に源を発し,鹿島町二宮で国道159号を横断,邑知(おうち)潟地溝帯を北流,鳥屋町・七尾市西部・田鶴浜(たつるはま)町を経て七尾湾西湾に流入する。鹿島町石動山の西,杓子ケ峠と荒山峠の間の渓流を集め,鳥屋町川田(こうだ)で石塚川,七尾市満仁町で池崎川・伊久留(いくろ)川・吉田川を合流,田鶴浜町新屋で舟尾(ふのお)川と川尻川に分かれる。舟尾川は天保年間,排水のため開削(鹿島郡誌)。川尻川下流には三角州がみられる。石動山地の上流域は片麻岩類・閃緑岩類および花崗岩類からなり,地形急峻。源流付近の二宮断層に沿う中の谷川東側にある蟻ケ原では砂岩や泥岩が分布し緩傾斜。邑知潟地溝帯では旧扇状地堆積物をえぐって北流,眉丈(びじよう)山の東北端に続く高階(たかしな)砂礫泥層の丘陵群の間を縫い七尾湾西湾へ流入。風化・浸食作用が激しく天井川となり,長曽川ほどではないが氾濫が多く,安政3年8月11~12日の大雨による被害(鹿島郡誌)などが見られる。昭和8年砂防工事に着手,土石流や天井川対策が講じられ,昭和19年改修工事に,同24年川幅拡張改修工事に着手。現在,国鉄七尾線能登二宮駅から上流が砂防指定区域で,水害はほとんどなくなった。二宮から約1km上流部では,右岸山地の土石を建材として搬出。川に沿って石動山を経由,氷見市に通ずる道路があり,かつては石動山への表登山道の二宮口と呼ばれた。山地両岸には県営事業によるスギの植林が行われ,イヌシデ・コシアブラ・ヤマモミジ・ケヤキなどの夏緑林,ニワトコ・コウゾなどの低木にエビヅル・ギョウジャノミズ・ミツバアケビ・マタタビなどのつる植物,林床にはキツリフネ・ヤマブキ・クジャクシダ・クサソテツや,山菜のフキ・ウワバミソウ・クグミ・ゼンマイ・ヤマウドなど,砂防堰堤付近の河川敷にはネコヤナギ・マコモ・ガマ・セリ類などが見られる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7088937