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足羽川
【あすわがわ】


越美山地の冠(かんむり)山・金草(かなくさ)岳の北斜面に発して北流,越前中央山地の水を集めて足羽郡美山町小和清水(こわしようず)付近から西または北西へ転じ,福井市街を貫流して西部の福井市大瀬町で九頭竜川の支流日野川と合流する。延長63.0km。流域面積437km(^2)。川名は旧足羽郡を貫流することにかかわると思われるが由来不詳。江戸期福井城下では福井川・大橋川とよび,貞享年間の「越前地理便覧」には上流を池田川,中流を市波(いちなみ)川と記す。また「大乗院寺社雑事記」の文明12年8月3日条の挿図に北庄(きたのしょう)川,天平神護2年の越前国足羽郡道守村開田地図に生江(いくえ)川の名が見える。上流で魚見(うおみ)川・水海(みずうみ)川を合わせて今立郡池田町の中心となる河谷平野を作るが,すぐ下流は河谷が狭まって嵌入蛇行をみせる。部子(へこ)川・味見川・羽生(はにう)川・芦見川の合流する中流域では再び河谷平野が広がり,低い河岸段丘も発達して美山町の中心となる。一乗谷川を合わせて間もなく越前中央山地を離れ,福井平野に出て北西に流れ,荒川を合わせて福井市街地を貫流,日野川と落ち合う。福井市篠尾(しのお)町および脇三ケ町(わきさんがまち)を扇頂として緩やかな扇状地が発達している。現在は昭和38年福井市安波賀中島(あばかなかじま)町に完成した足羽川堰堤により合口となるが,右岸に酒生(さかう)用水・吉田用水,左岸からは徳光(とくみつ)用水・大乗用水・木田用水・江守用水などが取り入れられ,狭義の福井平野を灌漑する。幸(さいわい)橋上流右岸の自然堤防が福井市街発祥の地・北ノ庄城跡と伝える。江戸期の城下町は九十九(つくも)橋を挟んで両岸に発達した。九十九橋より下流は明治以降の河川改修により直線化されたが,かつては明里(あかり)町付近を大きく蛇行して足羽山の北麓を流れ,さらに水越町付近から南へ大きく蛇行して日野川に角折(つのり)町で合流していた。池田町や美山町では林業が盛んで,3月下旬から梅雨時にかけて筏流しが行われ,木材が筏で福井へ運ばれた。川舟は一乗谷川合流点に近い宿布(しくぬの)(福井市)まで遡航できたが,重要な舟運は福井と三国湊との間であり,福井では九十九橋北詰めの木町河戸(きまちこうど)や幸橋北詰めの大岩河戸が船着き場としてにぎわった。また,福井市明里町には福井藩の米蔵があった。明治44年国鉄三国線が開通すると水運は急速に衰退した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7090659