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油坂峠
【あぶらざかとうげ】


穴馬越(あなまごえ)ともいう。大野郡和泉村東市布と岐阜県白鳥町向小駄良(むこうこだら)の間にある標高約800mの峠。美濃街道穴馬道が通り,現在は国道158号となる。名称の由来は岐阜県側の坂があまりにも急なので,旅人が脂汗を流して登ったことによるという。別名は穴馬道の国境越えによる。「太平記」巻21によると延元3年に美濃の守護土岐弾正は新田義貞を討つために,この峠を越え,穴馬を通って大野に進撃した。朝倉家の部将や織田信長の部将金森長近も通っている。藩政期は東市布に口留番所があった。「帰雁記」には「あなま山といふは,美濃国へこゆる方なり,木たち生茂て道すがら日の光も見えず」とあるが,宝暦8年青山侯が丹後宮津から郡上八幡に国替の時この道路を改修してから,通行人が増えた(名蹟考)。明治26・27年には岐阜県が隧道を作り,昭和16年には延長164mの油坂隧道に改良されたが,冬季は積雪のため閉鎖された。昭和62年には油坂道路の一部が完成して,峠の下を延長1,076m,道幅7mの油坂第1トンネル(越美通洞)で通過し,冬季も通行可能となる。岐阜県側にさらに第2・第3トンネルと6つの橋でつなぐ計画。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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