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吉坂峠
【きっさかとうげ】


きちざか峠ともいう。大飯(おおい)郡高浜町西部,京都府境にある峠。標高約120m。高浜町六路谷(ろくろだに)から舞鶴市吉坂地区煙(くれ)谷へ古来丹後街道が通じる。北の青葉山(高浜町)と南の三国岳(同)の間の若狭・丹後旧国境尾根の最低鞍部にあたり,東方の関屋・関屋川は国境の関の遺称と考えられる。特に関屋は綾部市市萱野(いちがや)から関屋川に沿う道,舞鶴市多聞院から黒部谷を通る道も合流し,関が置かれるにふさわしい位置にある。近世には蒜畠(ひるばたけ)(高浜町)に関所が置かれ,関所跡に「若州女留関所の跡」と記された硯石の碑がたち,特に出女に厳しかったことを伝える。峠はまた戦略的要地として合戦の場となり,戦国期には若狭・丹後の諸勢力がしばしば戦った。「若狭郡県志」は永禄9年高浜城主逸見駿河守が丹後の兵を迎え撃ったことを記す。今では国道27号が峠のすぐ北を,JR小浜線が南側をそれぞれトンネルで通過し,旧峠は廃道に近い。六路谷からの旧峠登り口に杉森神社があり,境内に菩提樹の巨木と国天然記念物御葉付銀杏2株(社殿東方山腹の1株は目通り周囲2.9m,社殿西の1株は同2.73m,ともに自生の雌樹)がある。府県境の峠道左右には大石があり,古来旧国境を示す境石だと伝え,また形が犬に似るので犬石という。西(丹後)に向かって右の石を若狭犬,左の石を丹後犬と呼ぶ由である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7092200