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笏谷
【しゃくだに】


地元では「しゃくだん」ともいい,酌渓・杓谷などとも書いた。福井市足羽(あすわ)山北西部,小山谷町の西,加茂河原町との境にある凝灰岩の産地。地名は昔,継体天皇が九頭竜・日野・足羽三川治水の時,役夫が暑さに水を乞うと,天皇が弓筈で大岩を突いて直ちに冷水を得たことによるという。背後の山から切り出す石は軟らかくて加工しやすく,笏谷岩,また北庄切石・越前青石の名で知られ,古来石材として様々の用途に使用された。足羽山古墳群の石棺,一乗谷にある3,000体余の石仏,柴田勝家の北庄城の石垣,足羽川に架けられた九十九(つくも)橋の南半,結城秀康の築いた福井城の石垣などが笏谷石を使用している。また石材は足羽川・九頭竜川を下って三国湊に運ばれ,京・近江坂本・紀州高野山などにすぐれた石廟を残すほか,北陸の各地や松前にまで移出された。産地は古くは足羽山北東麓石場町(現つくも1丁目・足羽1丁目)付近にあったが,近世初め笏谷に移り,現在はさらに西の加茂河原で,地下90mの深所から切り出している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7093072