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道実島
【どうじつじま】


坂井郡三国町の九頭竜川の河口近くにあった中州。島の名は江戸期に泥原新保の巨商道実氏が領有したことによる。九頭竜川と竹田川との合流点より下流にあった4つの中州のうち最大の州である。中州がいつごろ形成されたかは不明だが,明徳4年から応永21年にかけて中州の領有をめぐって三国湊と阿古江(泥原新保)が争った。争論に見える出来島がもとの名である。農地・萱取場・船揚場・係留地として利用されたが,文政2年に福井藩の用地となり,鋳造工場が設けられた。また天神山(福井市)より土砂を運んで埋め立て,名も汐見に改めた。文政4年当時の屋敷地は196を数え,また三国湊の境より汐見橋がかけられた。嘉永元年には当島にある鋳物師浅田新右衛門の工場で西洋式の大砲の鋳造が藩より命じられた。安政4年に再び道実氏に島は返された。明治2年に島の東側が埋め立てられて陸続きとなり,現在は新保との間に新保橋がかけられている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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