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南川
【みなみがわ】


遠敷(おにゅう)郡名田庄村の京都府境にある尼来(あまき)峠や頭巾(とうき)山付近を源として北東流し,小浜市街の北で小浜湾に注ぐ川。全長34km。流域面積460km(^2)。川名は北川に対するものというが,詳細不明。古くは名田庄(なたのしょう)川とよぶ。小浜市尾崎より下流を湯川と称した。最上流は尼来谷川・野鹿谷(のじかたに)川で,小さな谷底平野を開いて東流し,名田庄村の坂本で坂本川,久坂(ひささか)で槙谷川,三重(みえ)で久多(くた)川を合わせた後に北流し,小浜市深野で田村川を入れて北東流し,下流で北川と複合の小デルタを形成する。河口近くの流路は小浜城下建設の時に改変を受ける。谷筋には丹波道が通じ,現国道162号に引き継がれる。藩政期には名田庄との間の物資輸送に専ら利用された。谷田部(やたべ)坂―三重―久坂を通る丹波道は中名田に難所があって荷車を利用できず,川船で雑貨や海産物・塩などを運びあげ,下り船は年貢米や藁工品・木炭などを運んだ。また木材も筏に組んで流された。久坂・秋和・三重・深野・相生・中井・谷田部などには河戸が設けられ,川船が発着したが,洪水のたびに破壊された。また鮎を多く産し,川稼ぎも流域の村々の重要な生業であった。川役は権利を有する川衆により納められたが,延宝5年には145人の川衆から運上銀850匁,うるか代銀13匁,御膳鮎代銀100匁が納められた。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7095296