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山中峠
【やまなかとうげ】


南条郡今庄町山中(現在廃村)と敦賀市元比田(もとひだ)町の間の市郡界尾根にある標高約390mの峠。峠名は峠下の山中によるか。古代の官道帰山路(かえるやまじ)(鹿蒜(かひる)道)が越え,万葉の歌人も通ったであろう。天長7年に木ノ芽道が開通して官道となるが,その後も通行は絶えなかったとみえ,「源平盛衰記」の白山神輿登山の事には「十五日にかへるの堂(現今庄町南今庄),十六日には水津の浦(現敦賀市杉津町)」とあり,京へ攻め上った木曽義仲軍の先陣もここを通過した事を記す。近世には山中越と呼ばれ,福井藩は口留番所を置いた。明治29年に開通した北陸線は峠のほぼ下を山中トンネルで通過した。昭和37年の北陸トンネル開通でこの路線は廃止されたが,舗装道路として今も使用されている。しかしトンネルの中は1車線しかなく自動車の通行には不便である。旧道は廃道となったが,山中トンネルの両側から登り道があり,歩行は可能。今庄側は緩やかであるが,敦賀側は急坂である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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