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阿難坂
【あなんざか】


地元では女坂ともいう。御坂(みさか)山地のほぼ中央を,甲府と静岡県吉原を結ぶ中道(なかみち)往還(右左口(うばぐち)路,古くは春田路)の精進(しようじ)峠(1,210m)北西斜面の急坂。西八代(にしやつしろ)郡上九一色(かみくいしき)村の大字古関の本郷と精進の間にある。標高1,000~1,210mで,屈曲した道が続く。はじめ軍用道路として,天正10年徳川家康入国の時この坂を通って九一色郷から右左口に入った。のち物資輸送路として生魚や塩の海産物輸送に欠かせぬ道となった。昭和43年,自衛隊による自衛隊路が当坂道沿いに設けられ,さらに同45~48年甲府精進湖有料道路がつくられた。別称は,「国志」によれば,昔身重の上臈が坂の途中で産気づいて小児を出産したが母子ともに息絶えてしまったため,哀れに思った村人が供養の子抱き石地蔵をたて女石と呼んだ。坂名もこの女石にちなむという。また,当坂は,峠の西釈迦ケ岳の僧奝然の故事により,右左口峠にかかる坂を迦葉(かしよう)坂,精進峠にかかるを阿難坂と名づけ,阿難と女の音が似るためともいう。峠道は寺川に沿って精進峠に至る。精進・古関・右左口は宿場集落として対向的関係にある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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