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鵜飼川
【うかいがわ】


東八代(ひがしやつしろ)郡石和(いさわ)町市部のすそを洗うゆえに石和川ともいう。笛吹川に注ぐ金川の末流。流長約8km。八田と市部の境から南西に向かい,四日市場の岩落でやや西に向かい,また南西に抜けて,白井河原を経て上曽根で笛吹川に合流していたが,笛吹川の流路が変更したため当河川は現在はない。謡曲「鵜飼」によって名を知られる。石和川で禁漁を犯したため殺された鵜飼の亡霊を安房の清澄寺の旅僧が救済する。いわゆる岩落の土手18町が観音寺の管領する禁漁区で,禁を犯すと岩落の淵に沈められた。鵜飼山遠妙寺の境内には,漁翁堂・鵜飼漁翁之廟所のほか一石一字の供養塔などがある。弘安年間に日朗上人が里人とともに1寺を建て鵜飼堂と名づけ,応長の頃今の山寺号に改めた。「鵜飼」は江波左衛門五郎作を世阿弥が改作したもの。殺生を業とする漁夫を法華経の功徳によって救済したことをテーマとし,あわせて一僧一宿の饗応が仏果を得る機縁であることを物語っている。日蓮の名を示さなかったのは,その高徳よりも法華経の功徳をもっぱら説こうとするためであろう。遠妙寺を出て笛吹川に沿って四日市場に向かうと,万年橋の南に「御硯井」がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7096145