100辞書・辞典一括検索

JLogos

7

川俣川
【かわまたがわ】


川股川・川胯川とも書く。北巨摩(きたこま)郡大泉村・高根町をほぼ南流する河川。八ケ岳の主峰赤岳と権現岳に源を発する東沢と西沢は,八ケ岳南東斜面を深く刻んで流下し,国鉄小海線甲斐大泉駅の東方で合流して南流する。高根町久保長沢の北東で大門川と合流,須玉川となる。八ケ岳火山は浸食作用によって複雑な河谷がつくられているが,東沢源流部に発達してできた開析谷は険岨な地形であることから地獄谷と名づけられている。山麓の緩やかな高原地帯になると,美し森西方で南東から南へと流路を曲げて浸食谷をつくり,東沢・西沢合流点付近からは大きな峡谷が形成されている。特に川俣東沢を中心とした見事な渓谷は竜泉峡と呼ばれ,豊かな自然環境を残す地域であり,また吐竜の滝など多くの滝がみられる景勝の地であるため,渓谷に沿った探勝遊歩道が通じている。川俣西沢には中止の滝がある。このような峡谷地形をなすので,八ケ岳中腹を横断する八ケ岳公園有料道路(八ケ岳横断道路)は川俣東沢渓谷に架かる東沢大橋を通過し,高原鉄道といわれる小海線は峡谷手前から上流の東沢・西沢へ迂回をして横断する。当河川流水は裾野一帯の灌漑用水として重要であり,村山六ケ村堰の豊富な水源となる。この堰は「昔時壬生忠岑甲斐国目代たりしとき開鑿に係るものなりと伝ふ,降つて享禄二年東沢の水を通じ増水を計りしと」(北巨摩郡誌)といわれる古堰として知られる。「国志」は村山渠と称し「川胯川ノ上流東沢ノ水ヲ西沢ニ引キ入レ村山三割・堤・小池・蔵原六村ニ灌グ因リテ又六箇村渠トモ云フ」とあり,導水の恩恵を受ける旧六ケ村は高根町村山東割・蔵原・小池・村山北割・村山西割・堤である。改修工事によって用水堰の整備が図られ,村山六ケ村堰土地改良区が維持・管理する。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7096676